第一回総研大ワークショップ

 神奈川県相模原市宇宙科学研究本部ISAS/JAXA)にて開催。夏からこっそり運営委員をやっていました。行きのバスで学生証や新幹線の切符を落とし、隣の駅からバスで終点まで行って、車庫で受け取りました。車庫から駅に向かうバスが出発してしまったのを見て、私に「ダッシュ!」と叫び、私が乗りこむまでバスを引きとめていてくれた職員さんはとても優しい方でした。

 
 そんなこんなで特別講演を聞き逃しましたが、多岐にわたる発表はとても面白く拝聴いたしました。理系基礎研究の説明にどこまでついていけるか、そこから抽象的な発想を学べるかというのは自分との戦いです。

 
 つい突っ込んだのが、自然現象を測定する際のデータの不純物を「騒音」と呼ぶらしき習慣にまつわる議論。文系が視覚優位とか聴覚復権とか悩んでいるのに、理系が信号(シグナル)に対する騒音(ノイズ)という呼称を、あえて最も聴覚的な意味合いが強い比喩で呼ぶというのは興味深く思えました。

 
 個人的にはミュージアムにおける鑑賞教育についての発表にもコメントさせていただきました。感性は先天的なものではない、という点には大きく頷くのですが、「見かた」を教育することで、その教材に西洋の近代の絵画を重点的に用いることで抜け落ちる何かをどう埋めていくのかな、と思ったりします。これはなんとなくもう反射的に。

 
 南極で研究する人たちが同じ大学にいる、ということも想像力をかき立てられるようなインパクトでした。元々、基礎系や人類・科学の神秘を追うタイプの人たちの集まりなのだということを実感しました。発表を聞いていても、それぞれの物語にロマンを追究するような響きを感じます。


 施設見学で衛星の模型を延々と見ているとき、衛星スタンプがあったのでプログラムに捺してみたらなかなか素敵な記念になりました。しかしそれを見たフランス人Ph.D.の方に、「オタク」と言われてしまい、アニメがなぜ日本で広まり日本文化といわれているのか考えている専門の研究者もいるとか、コスプレやコミックが隆盛を誇るヨーロッパでメイド喫茶がないのは使用人文化に対する感覚の違いじゃないかとかという話をしてしまったら「それは分かるけど一般的ではない」とか突っ込まれました。だめかなあ……。

 最終日は新幹線で戻って翌日から奄美という強行日程でしたが、委員の方ともたくさん話が出来て、充実した2日間でした。そして理系の方々の研究に対するコンスタントな熱意と熱心さを垣間見て、いろいろ反省しました。見習わねば。