奇妙な格差

 調査資金を探していて常々思う。アジア諸国から日本に来る留学生のための民間企業による奨学金はものすごく多いのだが、逆が全然ない。いわゆるフィールドワーク用の研究助成金では足りない地域に行こうとしているので、逆を必死で探している身としては泣きそうだ。留学生送り出しより受け入れに門戸を開くほうが節税できるのか?とか邪推する。


 日本人院生の(研究目的の)留学と言えばほとんどアメリカかイギリス、音楽系だとドイツかオーストリア、フランスなのはなんなんだろう。中国にしても語学留学のマーケットは巨大なのに、長期で行く人はやっぱり少ない(政府奨学金しか取りにくいからという事情はあるが)。


 ……あれ?そもそも「世界最先端の技術や思想を学びに行く」というのが一般的な留学の目的で、日本にいる人から見てアジア諸国はそこから漏れるからということなのかもしかして。何だろうそれは。


 結果的にネット右翼の人たちが、留学生向け奨学金の充実を嘆く現状に同調することになってしまうのが腹立たしい。でも、当事者の立場からはどうしても、日本人の留学ももうちょっとだけでいいからサポートしてほしい、とは切に思う。趣旨も需要も違うことは、重々承知しておりますが。


 ……あと博士課程は3年間と決めてそれ以上在学すると理系の基準で判断してぴしゃっと門戸を閉ざすのも何とかしてほしいです。本当に。