二地域間会議

 5月1日・2日に台北で開催された、臺灣大學-香港中文大學音樂論壇、2010 NTU-CUHK MUSIC FORUM“Sonic Cultures in Global Perspectives”というシンポジウムに参加してきました。両大学の院生が中心となって運営された学生の研究会ですが、アメリカから民族音楽学 音楽民族学*1、日本から西洋音楽研究の著名な研究者を招き、2日間、レセプションも演奏もなしで朝から晩まで発表というハードな内容でした。


 私はポスター発表での参加でした。ポスターでも英語での発表は初めてだったのですが、会議を聞いて非常に勉強になりました。


 まずは英語力の問題。発表者の大半を占める学生はみんな中国人(広義の)なのにも関わらず、恐ろしく流暢な英語で発表が進み、ほとんど誰も原稿を読まず(読んでもメモ書き程度)、置いていかれるとそのまま、という状態が続きました。そして(当たり前ですが)聞きなれた人の知っている発表ならわかりやすい、ということを再確認。たまに教授からの英語の質問に答えられない学生がいると、先生は即座に中国語に切り替えて、同じ内容を英語で説明してみせる、という光景が普通でした。ちなみに、母語が中国語共通語ではない人も結構いたはずです。


 もうひとつは、こうした場に出す研究テーマが必ずしも今の調査内容でなくてもいい、ということで、毎回同じ材料を少し角度を変えて検討する、という方法もあるけれども、いくつか引き出しを持っておくことも大事なんだと昔(修論を終えて進学したばかりのときに)大阪で言われたのと同じことを実感しました。


 そういえば日本人がマイノリティである会議に出るのも初めてでした(韓国人にいたってはもっと少なかったのですが)。その分、日本の学会だったら絶対に話すことのないような領域の大御所の先生に質問したり、研究史についての話を聞く機会を得られたのは新鮮でした。


 そして何よりも、ポスターの準備をする時間が取れないくらい、この4月後半からかかりっきり体制になっていた作業(しかもアウトプットではない)を予定通り終わらせることができず、自分の発表のクオリティのみならず各方面に非常に迷惑をかける結果になってしまったことを反省しました。あまりにもマルチタスクに弱い、というのはこちらに来てから本当に実感していますが、直面したときは仕方ないと割り切るしかないものの、平常時からなんとか変えていく努力をしなければならない、と。


 ついでに。街中で見かける図面ケースには昔からどことなく親しみを感じてきましたが、あれは飛行機の中で壊れやすいからやめたほうがいい、と言われたので、ダンボールの筒に入れて預けました。が、持ち運びが非常に不便です。次回ポスター発表をするときには、矢筒にポスターを入れて運ぶといい、という話になりました。


 ちなみに帰りの飛行機で『インヴィクタス』があったので観ようとしたのですが、80分の距離なので到底無理でした。おとなしく機会を待とうと思います。

*1:このどちらを使うべきかについては、学部時代に指導教官に何度も指摘されて半ば刷り込まれたものの、出身大学の外ではあまりにも通じないといういわくつきなのですが、その先生が訳した本の原著者であるボールマン教授について語る場合は後者にしないといけない気がしたので訂正してみました