9ヶ月ぶりの青空

 三週間の日本滞在をなんとかクリアして、また香港に戻ってきました。諸事情で本当に「再訪」になってしまい、仮住まいからのスタートです。


 日本に戻った第一目的はここでの発表でした。


 私は採用時からなぜかスポーツ選手組に組み込まれており、解説にもあるとおり今回は宿泊を伴ったため、日本が世界に誇るトップ選手たちと露天風呂で海外体験を語る、という妙な状況に。しかし思いのほか興味深い話を聞くことができ、私だけ畑違いでありながら、いろいろな扉を開くことができたように思います。


 これだけ近いのに、あえて日本に帰らずに現地の若者たちと向き合ってきたこの9ヶ月、特に後半半年は、自分がなじんできた習い事の作法とか、敬語を伴わない上下関係とか、物事に取り組むときの真剣さとか向上心とか、どうも来たときの研究テーマよりも、院入学以前に、自分がその都度抗っては無理やり解決してきた慣習を改めて目の当たりにしては理由を探るという回り道を繰り返してきました。


 その中で時に、大学を移り歩いて不安定すぎる自分の身分と、就労経験のない幼さを思いもよらない形で反省したりすることもありました。そういった、どちらかというと「稽古事・芸事の研究」に近い部分において、アスリートたちと語り合う機会をもてたことは大きかったと思います。


 これまでここにはあまり「自分が現状何をやっているか」は書かなかったのですが(現地でかかわっている人たちの日本語読解力とメディアリテラシーが異様に高い、というのも理由のひとつです)、いずれ公開される場所でしゃべってしまった以上隠してもしかたないので。


 3月末の京都駅に降りたとき、空に舞うものを見て「雪!?」と叫びましたが、まさか今年雪を見られるとは思わず、そして寒いながら咲き誇る桜の花もしっかり見てきました。


 何よりも、大陸経由の大気汚染に悩む香港の空気を見慣れた目に、秋ほどではなくても青い晴れた空の色はとても眩しいものでした。「それが“良い”」というつもりはないし、そう言わないために身体を張っているわけですが、でも濁らない青をきれいだと思った自分とも向き合いつつ、さらに目の回りそうな4月の予定も乗り越えていこう、と思います。