レンジの思い出

 香港に行く、と言ったら、先輩や先生方からも、大体は「いいなあ美味しいもの」という反応をいただくのですが、そういえば中華街に通っていたときからそんな感じだったので同じようなものなのだろうと思います。


 オセアニア島嶼部やサハラ以南のアフリカの話を聞いてしまうと、そりゃそうだと言うしかありませんので。


 実際、1ヶ月日本食なしでも特に困らないのですが、なんとなく行き詰まったり気分が下向きのときに限って、中華系調味料の匂いがしないものを食べたくなります。そしていわゆる洋食は高い上日本に比べるといまいちなので、たくさんあるタイカレーやベトナムフォーの店に行ったり買ってきたりすることが多いです。


 が、先日意味もなく凹んだとき突然、「いま日本のカレーが食べたい」と思いはじめました。それは無理ださすがに無理だ、と思って歩いていたら目の前に。

 ちなみにこのとき深夜23時前、一人ご飯だったので予算の倍はしましたが、偶然過ぎたので思い切って入ってしまいました。日本食は高いので700円くらい払った計算ですが、Coco壱のカレーみたいな味で、米はちゃんと日本米を使用。「いらっしゃいませ」といって迎えてくれたのはフィリピン人のスタッフでした。


 何より奇妙だったのは店内に2、3人いたほかの客が全員西洋人だったこと。自分が食べている、よく知っている味の日本のカレーがいったい何物なのかよくわからなくなりました。


 まあ、実際私が「食べたい」と思っていた味は家庭で食べ慣れたもっと野菜の多い、市販のルウで作るベタなカレーだったのですが。よくわからなくなると同時に、結構元気になりました。