最近さぼりがち
- 作者: ウヴェフリック,Uwe Flick,小田博志,春日常,山本則子,宮地尚子
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (23件) を見る
- 作者: 金益見
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02
- メディア: 新書
- 購入: 6人 クリック: 518回
- この商品を含むブログ (100件) を見る
こちらは研究会でご一緒した方のblogで見かけ、院生が書いた新書ということで読んでみた。この人の存在自体は、スポーツ紙などに取り上げられて既にかなり有名だったらしい。しかし真っ先に思い出したのは、デイリーポータルZ鑑賞シリーズのひとつ。
これは上記の本でいうとインタヴューの手法が主で、雑誌記事の調査と、おもに提供側に対するリアルなインタヴュー調査をうまくかみ合わせ、戦後から現代に至るラブホテル事情を一本の歴史として纏め上げている。これを参与観察で厚く語られたら非常に面白いと思うのだが、インタヴューでさえ調査にものすごく苦労した跡が書かれているし、おそらく無理なのだろう。自分ならできない。鉄道マニアの調査からも逃げてしまったし。
落としどころが「日本文化」であることに妙な既視感を抱き、あれ?と立ち止まって考えたら、TOKYO STYLEを読んでちょっと欲しいなと思った↓の本と同じなんじゃ……と思ってしまったが、結論の力点が「現在」であることが大きなポイント、かもしれない。これからのラブホテルのラブはラブラブのラブだとか言ってる[p.196]し。なにより新書で、文章で描いたことにきっと意味がある。研究論文としてどんな方向から分析されるのか無限の可能性を考えられて楽しくなった。
Satellite of LOVE―ラブホテル・消えゆく愛の空間学 (ストリートデザインファイル)
- 作者: 都築響一,Alfred Birnbaum,アルフレッドバーンバウム
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2001/03
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
ただ、なんというか、れっきとした問題意識を持ち、きちんと手順を踏んでしっかりと調査をしても、テーマの柔らかさ(この人の場合は特に)と年齢と容姿如何で、調査対象から下に見られるという痛みすら武器にしているところに逞しさを感じた。綺麗な人は得だなあと思わなくもないのだが、それはそれで大変なんだろう。そのあたりが無自覚だといらっとくるが、たぶんわかって書いているから強い、と。