日々を刻む

 前のエントリに書いた課題のゼミに、ついでに自分のノートも持参しました。

Fieldnotes: The Makings of Anthropology (Writings of James Fenimore Cooper)

Fieldnotes: The Makings of Anthropology (Writings of James Fenimore Cooper)

 90年以前、研究者たちが記録したノートのサンプルを見ながらディスカッションをしました。時期が時期なのでタイプライターか手書きということになります。例に挙げられた写真や事例(当然ながら、島や熱帯雨林で調査をする白人がほとんどです)を読みながら、やはり二重三重の入れ子構造の中にいるような気分になりました。


 他の、主に香港/中国出身の学生さんたちにとっては、香港は「大学で研究をするために出てきた大都会」なわけです。自分にとっての東京や大阪と同じ位置づけで。彼女たちは休みになると、大陸の農村部などへ調査に出かけていきます。香港のみならず大陸の若い音楽学者の人も、調査対象のほとんどが自分の国の「音楽」で、事情はそれなりにわかりつつもついゼミで、なぜ他の国に行かないのかと聞いてしまったこともありました。


 学部時代は、「西洋芸術音楽」、「日本の伝統音楽」、「世界のさまざまな音楽」のなかから「どれかを選んで習熟し、分析する」という行為にどうしても疑問を持ってしまい、そのせいで異様に遠回りしてきたわけですが、結果的に自分はすべてに注釈が必要な状況になってしまい、ある意味非常に恵まれた環境で、非常に扱いにくいものに向き合っているような気がします。


 しかしまあ、院生同士母語を解さないからこそノートを見せたりもできるわけで、先生が見せてくださった調査記録には圧倒されました。英語ですがご本人ですら読めないとのことで、非常に細かくて年季の入ったいかにもなものでした。「これ自体(物質としてのノート)が自分の自信になる、でもバックアップは大切」という言葉に、手間を惜しまないようにせねば、と改めて。

マイブック―2010年の記録 (新潮文庫 ん 70-12)

マイブック―2010年の記録 (新潮文庫 ん 70-12)


 で、日系デパートの書店でこれを買ってあったので、何らかの方法で活用しようと思います。元値が安いので、1.2割増しでもそんなに高くないのがありがたいところです。