映画

 「中華学校の子どもたち」

 一週間の公開、学割デーに滑り込んで観てきました。覚悟はしていたので、人が少なくて良かった。2年前にTVの特集を見たときほどではないけれど、まあ普通にスクリーン見ながら泣いてました。のっけからいきなり獅子が出てくるし。


 何よりも、よく撮れたなあと思う。対象が「子どもたち」だから、うまく切り込んで切り取ることができたんだろう、と。そして、あくまで2008年の「いま」の位置に立ちたい、という意思もはっきりと感じられる。でも同時に、背景を知っているからこそ補完できるディテールもかなりあり、この作品を当事者の反対サイドの人が見たら、きっと反感を持ってしまうだろうし、何も知らない人が見たら、中国と台湾の対立がそのまま反映されたように見えてしまう。72年の国交回復時の話も、何も出ていなかった。


 在日華僑の抱える問題と、横浜独自の問題と、それが「何に起因してなぜまだ残っているのか」、そしてパフォーマンスがただのパフォーマンスでは済まないのはなぜなのか。子どもたちの視線と、日中のクレオール的なことばに視点があたる分、そのあたりが巧妙にぼかされてしまっていた。単なるドキュメンタリーなら、その前提を描くことは必要ないのかもしれない。でも、多少なりともその背景をいかに冷静に突き放して書くかに腐心した者としては、その思い切りが逆に危なっかしく見えてしまう。


 制作に、3年かかったと書いてあった。かつての自分の無謀さと、そして難しさを改めて痛感する。