芝居

 難波の新歌舞伎座にて、神野美伽特別公演のゲネ(と言うのか?)に御呼ばれしたので、途中からですが見てきました。


 この系統は昔から思っていたのですが、いったいどんな人が見に行くんだろう、と。ゲネなのでわからないままなんですが。しかもチケット高いなー。四季並みですね。


 私は5年以上前にこの作家さんのもとで雑用・リサーチ的なアルバイトをしていて、当時のリアル知り合いの方にはだいぶネタにしたのでご存知かもしれませんが、このへんにあった健康ランドの、50cmほどの舞台で5人で幕を開けた芝居のことは、当時も役者さんたちから論文に書いてよーとか言われたりしました(ストーリー解説・接客・大道具・小道具・音響・照明・黒子を一人でやった)。


 今回のような大きな公演もあれば、そのときのように田舎でドサ回りのようにして缶詰めになってやる公演もあり。ここ数年で大規模なものが増えてきたそうです。


 で、懐かしさに浸れるかと思って行ってみたら壮大な装置と凝った衣装で、複数の要素をうまく絡めて飽きにくいストーリーになっていて、自分の書く研究計画に足りないのはこれだ!と思った次第です。ばらばらの要素をいかにうまく一本の面白い話にまとめるかという技術。技術と時間のかけかた。


 当時の役者さんたちはみんな嫁に行ってしまったとのことでしたが、今になるとあのひとたちの思いも少しはわかるような気がします。好きなことを続けることの難しさとか、人前に立つことの責任とか、それでもスポットライトを浴びられることに対する感謝とか。って、至って普通の感想しか出てこないわけですが、「知ってる」だけだった当時に比べて、「身に沁みて痛い」のはそれなりに成長した証なのかと。


 自分の好きなややこしい話をシンプルな物語にして、まじめに生きているたくさんの人に届けること。それが一番、難しいのかも。