予備調査という名目で香港に短期滞在しています(ちなみにはてなキーワードの説明とはかけ離れた内容になると思います。この説明は量的調査のみに適用されるものです、と今更私が書くことでもないですが)。


 今後のためには少なくとも何かのきっかけをつかまなければどうにもならないのだが、前回、見学で来たとき思いのほかいろいろと見ることができた分、今回はスロースタートになってしまった。


 なので、本について。

70/80中國新人類

 書店で見つけて吸い込まれた。中国*1の70年代・80年代生まれの人たちが、それぞれの職場や自室で、日常的に使っているものに囲まれて写り、それぞれ設問に答えている。仕事はさまざまで、80年代生まれの博物館館長もいれば、70年代生まれの映像作家もいる。このカバーの人は、80年生まれの作家/主婦だそうだ。設問部分はまだ正確に読み解ける語学力がないが、写真だけでも十分面白い。ここで撮られている個人の部屋は、単にポートレートに写り込んだ背景ではなく、たぶん本人の写真以上にその人を表しているものなのだろう。


 ただ、どの部屋を見てもなんとなくなつかしく、しかし必ず「あ、中国だ」とわかるポイントが滲み出ている。なつかしさは多分、そこここに置かれた人形や布地の感触(実際にとらえるのは視覚なのだが、触覚を喚起させる気がする)に、自分が生まれた時代の日本の一般家庭にあった雑貨の空気を感じるからだろうと思う。キャラクターの表情や、英文プリントの文字の形にそれが感じられるように思う。中国だとわかる特徴は、たとえば写っているPCのメーカーや、飾りの細かい部分に現れていて、その混じり具合がかなり面白い。


 同じ歳の人たちがそれぞれの分野で活躍していることも、個人の部屋にその人となりが表れることも、公私共に関心があることなので、調査の進み具合とは別に、この本との出会いも何かの縁だと思うことにした。

*1:多分、諸地域を含めての呼称