新年度読書会

The Audible Past: Cultural Origins of Sound Reproduction

The Audible Past: Cultural Origins of Sound Reproduction

 大阪第二ビルで読書会。新年度になって、学部生・修士一名ずつが関東に移動。私はChap.4“Plastic Aurality”を担当するも、相変わらず要領が悪く、まとめきれずに極微量のレジュメを持っていく。


 エジソンやベル(に代表される)当時の発明家たちが、自らの発明を「自分の子ども」として語ることの意味を読み解く。Male Birth(男性のor男性による出産)は、それを所有し権利をもつことのほかに、「無の状態に完成品を生み出す」という、「女性の出産」と比べてより完成されたものを示していた。


 何度も述べられているように、Sterneは歴史上の何かが形をとった瞬間とそれ以降よりも、それが固まる前の瞬間にこそ意味を見出している。ある機械が生み出された瞬間ではなく、それが「誕生した」とされるよりも前の流動的な状態を読み解くことで、ブラックボックス化する前の歴史的経緯を明らかにすることができる(これはラトゥールの実験室民族誌を思い出した)。
 

科学が作られているとき―人類学的考察

科学が作られているとき―人類学的考察


話題に上った本

レコードの世界史―SPからCDまで (音楽選書 (46))

レコードの世界史―SPからCDまで (音楽選書 (46))

レコードの文化史 (1968年)

レコードの文化史 (1968年)

余談

 Chap.2あたりで出てきた"audible"と"audile"について。先月、名古屋に行く鈍行列車の中で、和歌山は田辺の中学校で英語を教えているというアメリカ人の女性と乗り合わせた。私が文法の教科書を読み直していたら、「質問があったらどうぞ」と言ってくれたので、唐突にこの両者の違いを聞いてみた。

「audibleは、少しだけ聴こえる、ようやく届くくらいの音を言います。audileという言葉は私は聞いたことがないけれど、Doctorは優秀だから、使うのかもしれません*1。」


 といわれた。確かに、辞書で引いてもaudileは古語のようだが、一般的には使われていないらしい?……という話をみなさんに報告しました。


 飲み会はさらに人が増え、次回からまた修士の人が増え、楽しい反面どんどんプレッシャーの予感です。あと、できれば女の子募集です。さすがに寂しいです。


 ぎりぎりの申請書×3が落ち着いたら、次回に向けて続きをメモしていきます。それからつい昨日に、旧アジア派遣でアフリカまで行けるようになったことを知ってショックを受けました。どのみち、自分は応募できないのですが。

*1:The Audible PastはSterneの博士論文